Atalanteというキーボードを作りました

Atalanteとは

Atalante(Atalántê / アタランテ)は、Choc v1スイッチを採用した一体型カラムスタッガードの自作キーボードです。

主な特徴

  • Choc v1スイッチを採用した薄型(ロープロファイル)のキーボード
    • パームレストがなくても使いやすい
  • 日本人の手のサイズに合っているといわれる18×17mmの狭ピッチ
    • キー数のわりにコンパクト
  • ハの字型に角度のついたカラムスタッガード配列(縦にずれた配列)
    • 一体型ながら左右分離型のような使用感
    • 自然な姿勢により打鍵時の負担を軽減
  • 左右両側にアローキー(矢印キー)クラスタを搭載
    • 全62キー
    • ベースになっているのはErgoArrows配列
  • BLE Micro Proによる無線接続に対応
  • 中央にロータリーエンコーダー1基を搭載
  • アンダーグローLEDを搭載
  • Remap対応

Atalanteのコンセプト

Atalanteは、私が自宅や仕事場で愛用しているErgoArrows / ErgoArrowsProの使い勝手のよさを、外出時にも(特にノートPCの上に置いて)再現したいという目的で開発しました。

そのため、数字行がないことを除けば、ErgoArrows系列とほぼ同様のキー配列になっています。

また外出時の取り回しの良さを考えて無線接続にも対応。ロープロファイルのキースイッチやロータリーエンコーダーを採用し、狭ピッチとすることで、持ち運び時の利便性が向上しています。

Atalanteという名前の由来について

Atalanteという名称はあまりキーボードらしくない気がしますが、この界隈には(TGR-)AliceやAtreusのような人名を冠したキーボードがいくつかあって、私もゆくゆくは自分のキーボードに人の名前をつけたいと思ってました。

中央のマイコンカバーの形がアルファベットの「A」に似ていることからAで始まる名前がいいのでは、ということになり、さらにErgoArrows配列がベースになっていることから、

Arrows → 矢 → 弓 → 弓兵 → アーチャー → ……

という流れで、ギリシャ神話に登場する俊足の女狩人の名前をいただくことに。

なお、Atalanteはフランス語の綴りで、英語ではAtalanta表記が一般的な模様です。

ErgoArrows配列について


画像はErgoArrowsProのカーソルキークラスタ

ErgoArrows / ErgoArrowsProは、カラムスタッガード配列の自作キーボードにしてはめずらしく、逆T字型(凸型)の矢印キークラスタを備えています。私は個人的な癖として矢印キーの使用頻度がとても高いので、この矢印キークラスタがErgoArrowsを手放せない理由になっています。

ErgoArrow系列の矢印キークラスタは他のキーよりも1段低くなっており、普段の入力時には掌と干渉することがありません。この点はErgoArrowsの非常に優れた特徴です。

一方で、もともとロープロファイルのAtalanteでは矢印キークラスタを他より低くすることができませんでした。

それでは入力時に掌が矢印キーと干渉するのではないか、と思われるかもしれませんが、これに対しては、干渉はゼロではないが実用上は問題のないレベルまで減らせる、というのが回答になります。

干渉を減らすためにAtalanteでは、

  1. キーボード全体の高さをできる限り低く抑える
  2. ゴム足を利用したチルトで、指を伸ばしきらなくても最上段のキーを打てるようにする

という対策を行っています。

また、手首をべたっと机につけずに手全体を軽く浮かすようにして打鍵すれば、矢印キーへの干渉はほぼなくなります。

これはノートPCの上でHHKBを使っている人(いわゆる尊師スタイル)であれば普通に皆やっていることなので、Atalanteだけが特にユーザーに負担を強いるということはないのではないかと…。あとは当然ですがパームレストを使用すれば、干渉することは完全になくなります。

さらに根本的な解決策として、矢印キー部分にChoc v1よりもさらに背の低いX Switchを使う構想もありますが、これについては今後の検討課題ということで。

Atalanteの今後について

現在、私の手元にあるAtalanteは試作品ですが、期待以上に使い勝手がよくてまずまず満足しています。

実は、予定してるけどまだ実装していない機能というのがいくつかあるので、次はそれも試してみたいところです。優先順位が高いのは無線接続のテストと単4乾電池が使える電源ユニットの開発でしょうか。あとはマイコンカバープレートに装飾なども施してみたい。

頒布については今のところなにも考えておりません(そもそも需要があるのか、という疑問もあり…)。

ただ、ほかの人に触ってもらって感想などを聞いてみたい気持ちが出てきたので、もしかしたら今後どこかのキーボードイベントに持ちこませてもらうこともあるかもしれません。その際にはなにとぞお手柔らかにお願いいたします!