Naked64SF v3の重量は? 打ち心地は? N51GLとの関係は? 調べてみました!

はじめに

いかがでしたか系迷惑まとめサイトみたいなタイトルですみません。

Naked64SFシリーズは、数々の人気キットを世に送り出してきた自作キーボード設計者のサリチル酸さんが、ご自身の理想とする据え置きキーボードを模索するためのキーボードとして設計したもの、とのこと(『Naked64SF』のオプションパーツビルドガイドより)。
PCB積層構造の初代、板金ケースになる予定のv2、そしてv3はアルミ削り出しのボディになるようです。

中でも最新バージョンであるNaked64SF v3 Proto3は、KEEB_PDなどでインパクトのある写真がしばしば公開されており、気になっている方も多いはず。私も、Naked64SF v3の一見キーボードとは思えないような異形の姿と、噂に聞く入力しやすさというのがどれほどのものか、以前から興味を持って注目してました。

そして今回サリチル酸さんのご厚意で、なんと ErgoArrowsPro の試作機と一緒に Naked64SF v3 Proto3 をお借りすることができました。そこで実際に Naked64SF v3 を使ってみた感想などを簡単にレビューしてみたいと思います。

Naked64SF v3 に興味をもっておられた皆様の参考になれば幸いです。

salicylic-acid3.hatenablog.com

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Naked64SF v3 Proto3 の外見など

まず、Naked64SF v3 Proto3 の初見の印象なのですが、

想像していた以上にメチャメチャでっけえですわ…

とりあえず Apple の Magic Keyboard と比較してみたもの。

この圧倒的な戦力差を見よ。

京極夏彦先生の本が、なんか普通の文庫本サイズに見える…

鉄鼠の檻(1376ページ)でも Naked64SF v3 Proto3 の厚みには及ばず。

重量は3.0kgちょうどでした。当初はもっと重かったのですが、重すぎて使いにくかったために軽量化したとのこと(軽量化とは…)。

LEDも搭載されており、光ると非常にかっこいいのですが、キーボードという概念からは余計に遠ざかる気がします。マイクロソフトあたりの次世代ゲーム機か、あるいはもっと邪悪ななにかに見える。

Naked64SF v3 Proto3 の打鍵感など

Naked64SF v3 の特徴といえば、左右10°ずつテントした(中央が盛り上がった)立体的なボディ形状です。普通の(平面的な)キーボードに比べて打鍵時の腕や手首の角度が自然で、負担の少ないタイピングが可能です。

片側10°というとたいした差がないような気がしますが、数値以上に指が楽だと感じたのは、親指でタイプする手前のキーが一段低い位置に置かれているためだと思います。ホームポジションに指を置いたときに手全体を丸めたような姿勢になるので、特に親指の付け根がすごく楽。

私は親指の腱鞘炎で長いこと苦しんだ経験があるので、このリラックスできるポジションには心惹かれるものがあります。

また一般的なキーボードの多くが奥側にいくほど背が高くなっている(チルトしている)のに対して、Naked64SF v3 は7°の逆チルトになっています。こちらもホームポジションに指を置いたときの手首の角度が自然で、とてもリラックスしたタイピングが可能。そして分厚く丸みを帯びた専用のパームレストが、これまた効果的に手首を支えてくれます。

さらに Naked64SF v3 の場合はなにしろでかくて重いので、タイピング時の安定性も抜群です。斜め方向の力が加わりやすい立体的な形状にもかかわらず、キーボード本体のズレやぐらつきを感じることは皆無でした。これは、持ち運びに適した小型軽量のキーボードにはない、据え置き型ならではのメリットだと思います。

そして肝心の Naked64SF v3 の打鍵感ですが、ひと言で説明すると

「ギャップ萌え」です。

ごっつい見た目からは想像もつかない品のある打鍵音。キースイッチは軽すぎず重すぎず(ちょっと軽め)で、底打ちしたときの感触は柔らかく、それでいてしっとりと安定した感じ。
とにかく上品な感じなんですよ。この外見で。この外見で。

私も高級キーボードの打鍵感にはまったく造詣が深くないのですが、手首や指への負担の少なさとキータッチの合わせ技で、このキーボードの打ち心地がとても優れていることはよくわかります。

世の中には機能的なキーボードも打鍵感に優れたキーボードもたくさんありますが、それらを両立したものはなかなか貴重なのではないかと。サリチル酸さんが昨年のエンドゲームと仰る気持ちがよくわかります。

N51GL との比較とか

N51GL は、GL516ケースへの搭載を前提とした自作キーボードです。こちらもサリチル酸さんの作品で、簡易版 Naked64SF v3 を目指して設計されたとのこと。

そうなると、私を含めたN51GLユーザーが気になるのは、N51GL の使用感がどの程度 Naked64SF v3 に似ているのか、という点ではないでしょうか。

あくまでも私個人の感想ですが、結論からいうと、

2台の打鍵感はまったく別物

ケースの形状も重さや大きさも(あとは価格も)違うので当然ですが、この2台はもう全然別のキーボードです。Naked64SF v3 のほうが高級品で N51GL はランクが落ちるということではなく、想定される使用目的や使う場所が違う感じ。長時間のタイピングでは Naked64SF v3 が圧倒的に使いやすいと思いますが、取り回しのよさでは コンパクトなN51GL に軍配が上がります。

キー配列的な意味での使い勝手はけっこう似ている

上の説明と矛盾しているようですが、2台のキー配列はよく似ているので、頻繁にキーボードを乗り換えてもあまり混乱せずに使うことができます。Naked64SF v3 の特殊なキーレイアウトは慣れるとかなり入力効率が高いのですが、その恩恵は N51GL でもある程度まで受けられるのではないでしょうか。

Naked64SF v3の簡易版という評価はわりと正しいかも

ケースの大きさや形状などがもたらすメリットを除けば、Naked64SF v3のエッセンス的な部分は意外に N51GL にも受け継がれているなあ、という印象です。N51GL が気に入った方は、Naked64SF v3 も気に入る可能性は高いと思う。

N51GL は Naked64SF v3 に比べるとかなり安価なので、Naked64SF v3に興味がある方は、こちらを先に試してみるのをオススメします。GL516ケースは、ほかの互換キーボードにも使い回せるので実質タダみたいなものですし…!

気になるNaked64SF v3の発売予定は?

Naked64SF v3は以前から多くの人々の注目を集めているキーボードですが、見るからに製造単価が高そうですし、設計の複雑さや素材加工の難しさなどから、素人目にも製造や販売が難しいのは想像がつきます。

そんな中、先日公開された第42回の自作キーボード温泉街週報の中で、「ErgoArrowsPro の前後に販売したい」と発売時期について触れられていました。その ErgoArrowsPro については「販売自体はもう少し先になる」とのことで正確な時期はまだわかりませんが、販売に向けて着々と準備が進んでいるということで、Naked64SF v3についても期待してお待ちしたいと思います。

まとめ

自作キーボードに興味を持つ人間にとって、理想のキーボードを構想してそれを実現するという行為にはやはり憧れますし、私にとっての Naked64SF v3 はまさにその憧れのひとつの象徴です。

実際に体験してみた Naked64SF v3 は、見た目のインパクトでも入力性能でも、その期待に違わぬものすごいキーボードでした。

私はキーボードが小型軽量であることにあまりメリットを感じない人間なので、日本の自作キーボード界に、ここまででかくて分厚くて入力性能に特化したキーボードが存在するのが嬉しく、また痛快に感じます。このNaked64SF v3 に触発されて、さらにとんでもないキーボードが生まれると楽しそうだなあ、と期待しつつ、自分でもそういうのを形にしてみたいと思ったりもするのでした。

というわけで、Naked64SF v3 Proto3についてのレビューでした。

最後になりましたが、大切な愛機を快く貸してくださったサリチル酸さんに、あらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました!